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床面遺構 2ヵ所出土 原爆ドーム 耐震工事 数ヵ月延長へ 広島市

 広島市は1日、世界遺産の原爆ドーム(広島市中区)で耐震補強工事のため地面を掘ったところ、被爆前の広島県産業奨励館の床面とみられるコンクリート製の遺構が2カ所で見つかったと発表した。規模など詳しい調査を進める。3月下旬までを予定していた工期は数カ月延びる見通し。

 市公園整備課によると、2カ所の遺構は奨励館の「陳列室」があった北側部分で発見された。約2平方メートルの長方形と、約3平方メートルのL字形。昨年12月下旬、近くの支柱の基礎部分を広げる工事に備え、土やがれきを10~50センチ程度取り除いたら現れたという。

 同様の床面は2002年、ドーム保存工事に合わせた市の遺構調査でも、ドーム部分真下の「階段室」で確認された。ただ、同課は「これまでの工事記録から今回の場所では遺構は出ないと判断していた」と説明。ドームは世界遺産に登録されて以後、全面を掘り返しての調査が難しく、今回も2カ所の周辺の状況を3D写真などで記録するにとどめる。その上で埋め戻し、遺構を覆うように支柱の基礎部分を広げる工法を採る方針でいる。

 市はドーム初の耐震補強工事に昨年12月に着手。震度6弱で崩壊の危険性がある南北3カ所のれんが壁を鋼材で支える作業を進めていた。うち北側2カ所は今回の遺構発見の影響で工事を中断しており、ことし4月以降に再開する。(和多正憲)

(2016年2月2日朝刊掲載)

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