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原爆詩人の峠三吉生活 復興象徴 平和アパート建て替えへ

 広島市は、戦後復興期を代表する建物の一つで、原爆詩人の峠三吉(1917~53年)が暮らしたことで知られる市営平和アパート(中区昭和町)を建て替える方針を固めた。市は2012年度、民間業者を活用した事業手法の検討を進める。

 平和アパートは終戦間もない48年に完成した。鉄筋構造では戦後初の市営住宅で、4階建ての3棟計72戸ある。

 峠は50年から53年に死去するまで3号棟4階の一室で暮らした。敷地内には詩碑が立ち、峠が窓からの京橋川の眺めに着想を得たという「河のある風景」の詩文の一部が刻まれている。

 市は老朽化した平和アパートの建て替えに当たり、コスト削減や敷地の有効活用を考慮。民間業者からアイデアを募って、複数の事業手法について実現の可能性を探り、どのような事業計画ができるか検討する。

 市内の戦後復興期の建築では、54年完成の市営住宅兼店舗「京橋会館」(南区京橋町)が1月までに解体された。跡地で民間業者が高齢者専用の市営住宅を含む複合ビルの建設を進めている。(藤村潤平)

(2012年2月2日朝刊掲載)

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