×

社説・コラム

天風録 「第9惑星と北の衛星」

 海王星のさらに外側に未知の惑星があり、1万年以上かけ太陽の周りを回っている―。太陽系に「第9惑星」が存在する可能性を米国の研究チームが分析ではじき出した。5年以内に望遠鏡で見つかるだろうと▲正体の知れぬ「星」は地球の周りでも回っているらしい。北朝鮮の人工衛星のこと。過去何度か打ち上げて、4年前にはそれらしき物体を軌道に乗せることに成功した。その後は制御を失ったようだ。今は一体どこに▲観測衛星であり平和目的だと主張しても、実態は長距離弾道ミサイルの実験にほかなるまい。またやると言いだした。新年早々、核実験を強行して非難を浴びたばかりというのに懲りない国である。米本土を脅かす兵器の開発へまっしぐらに見える▲中国を後ろ盾とする「衛星国」の面もあったのは確かだ。しかし、このところ中朝の「交信」も途絶えがち。本当の思惑はどこにあり、どこへ向かうのやら。かばい続けるが、コントロールできぬ糸の切れた凧(たこ)のよう▲物々しい迎撃の準備が、またも日本国内で進む。国連の制裁決議などお構いなしで自制を求める声も届かないのか。大きく外れてしまった世界の軌道にいつ戻ってくるのだろう。

(2016年2月5日朝刊掲載)

年別アーカイブ