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被爆5年後の記憶生々しく 平和祈念館が1950年募集「体験記」紹介 広島市中区

 広島市が1950年に初めて募った「原爆体験記」を取り上げた企画展が、中区の国立広島原爆死没者追悼平和祈念館で開かれている。学徒動員先での被爆体験や、家族の死がつづられた17編を関連資料を交えて紹介する。12月28日まで。無料。

 体験記全165編の原稿は、市公文書館が所蔵。原爆被害をめぐる検閲があった占領下で一部を収めて製本したが、一般には配らなかったという。

 会場では、広島大名誉教授の葉佐井博巳さん(84)=佐伯区=がデータ化して2011年に市へ寄せたテキストを基に、医師や女子学徒たちの体験記を情報端末で公開。日本語、英語、中国語、韓国語で読める。関連資料20点も並ぶ。

 小川春蔵さん=当時(32)=の手記は今の平和記念公園内にあった自宅の跡で妻の遺骨を見つけた体験を、「涙と汗が白骨の上に音をたてゝ落ちて行く」と記述。一緒に拾った置き時計(原爆資料館所蔵)を展示している。

 小川さんらの3編の朗読ビデオも見られる。同館は「被爆5年後の生々しい記憶から原爆、戦争の悲惨さを感じてほしい」としている。(水川恭輔)

(2016年2月6日朝刊掲載)

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