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広島市3年ぶり減5989億円 16年度予算案 大型事業は継続

 広島市は8日、2016年度当初予算案を発表した。一般会計は5989億8900万円で前年度比1・3%減。土砂災害の廃棄物処理や学校校舎の耐震工事をほぼ終えた影響で3年ぶりのマイナス編成となった。JR広島駅南口(南区)の二つの再開発ビルを仕上げ、被災地復興事業を加速。人口減少対策では、「200万人広島都市圏構想」に基づく経済活性化や、市民の子育て支援で新施策を手掛ける。(岡田浩平)

 南口Bブロックは8月、Cブロックは12月の民間再開発ビル完成へ、前年度並みの計76億700万円を投じる。南北自由通路、路面電車の高架乗り入れ関連にも引き続き予算を付けた。土砂災害の復興関連は前年度の約5倍の54億2500万円(都市整備局分)。市道新設・拡幅などの用地取得、工事を進める。次なる大型投資となるアストラムライン西風新都線の調査費や、広島県などと合意したJR線連続立体交差事業の設計費も計上した。

 23市町との都市圏構想では車産業など4テーマで担当者による研究会を始め、調査検討費1千万円を盛り込んだ。子育て支援へ、新生児の聴覚検査を全額助成するよう6300万円を確保。子どもの医療費補助に21億1800万円を組み、来年1月に対象年齢拡大を含む見直しをする構えだ。平和施策では原爆資料館(中区)の入館料引き上げによる増収相当額を基金に積み、被爆資料の劣化調査などに幅広く使う。

 一般会計の歳出を性質別にみると、災害復旧事業費は6億8100万円で、土砂、がれき処理費などを含んだ前年度より47億5700万円減った。生活保護を含む扶助費は1413億円、普通建設事業費は867億円でほぼ横ばい。金利低下などで公債費は29億円近く減り、762億円。

 歳入のうち市税は給与収入増や企業の業績改善で2・7%伸び、2084億円を見込む。半面、国の地方交付税は325億円で4・4%減った。市債発行は713億円で1割近く縮減。校舎の耐震化や空調整備がピークを越えたのが大きい。16年度末の残高は0・7%増の1兆1136億円となる。貯金の財政調整基金から30億円を、廃止する土地開発基金から36億円を使って予算案を組んだ。

 松井一実市長は記者会見で「200万人広島都市圏構想のもと、人口減少、少子高齢化に打ち勝ち、世界に誇れるまちの実現へまい進する予算」と強調した。

 一般、特別、企業の全会計では1兆1778億2500万円で0・4%減となる。予算案は15日開会の市議会定例会に提案する。

「次代への投資」強調 広島市16年度予算案 原爆・平和 サミット 案内や原爆展

 主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に先立ち4月10、11日にある外相会合の支援関連費を計上した。市内外の交通拠点に、来訪者向けのカウンターなどを設ける。サミットが開かれる5月には開催地に隣接する三重県伊勢市内で、長崎市と共同の原爆展を開く。費用は折半。核兵器保有国の米国、英国、フランスのトップらに来場を呼び掛ける。

 広島市長が会長を務める平和首長会議のネットワークを生かし、核軍縮や平和構築に携わる人材育成を図る。国内外の加盟都市の若者約40人を招き、原爆による被害を学んでもらう。事務局の広島平和文化センターへの若手職員のインターンとして短期・長期計5人程度をリーダー都市から優先的に募る。いずれも旅費と宿泊費などをみる。

 被爆の記憶の継承へ、原爆資料館(中区)の被爆資料の劣化状況を調べ、必要な補修をする。市民に被爆資料の提供を呼び掛ける。

 市内の被爆樹木全約170本の樹勢も調査。被爆建物の市水道資料館(東区)の改修を続け、同じく被害の跡が刻まれている旧日本銀行広島支店(中区)の保存工事に向けた実施設計を始める。被爆建物・樹木を巡る催しも開き、関心を高める。

【原爆・平和】
 ○G7広島外相会合の開催支援             750
 ○三重県伊勢市での原爆展の開催            217
 ◎青少年「平和と交流」支援事業            751
 ◎平和首長会議インターンシップ            540
 ○原爆資料館収蔵資料の保存措置の強化       1,535
 ◎被爆樹木モニタリング等事業             770
 ◎被爆建物・被爆樹木めぐり                7
 ○被爆建物の保存支援               1,000

(2016年2月9日朝刊掲載)

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