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戦艦大和を潜水調査 呉市、予算8000万円計上へ

 広島市呉市は同市の旧呉海軍工廠(こうしょう)で建造し、戦争末期に東シナ海に沈んだ戦艦大和の潜水調査に乗り出す。春にも業者に委託し、高性能カメラを搭載、遠隔操作できる無人潜水探査機で調査する。映像を2017年度にも大和ミュージアム(呉市宝町)で公開する予定。

 1941年に完成した大和は全長263メートル、基準排水量6万5千トン。世界最大の戦艦だった。45年4月7日に米軍機の攻撃を受けて沈んだ。ミュージアムによると乗員3332人、3056人が亡くなった。

 長崎県五島市の女島の南176キロ、水深約350メートルの海底に沈む。1987年と99年にテレビ局などが潜水調査しているがアナログ映像だ。今回はデジタル撮影のため精密な映像や写真が撮れるとする。水深が深く全体の撮影は困難だが、各部のデータを取得し全体像をつかむ。鋼板の厚さや長さ、艇の傾きも測る。残骸や遺品などの引き上げは一切しない。

 大和を産業遺産と位置付けている市は「設計図などが残っていない。旋回システムなど当時の技術がどういうものか研究する」とする。ミュージアムの来館者増にも結び付ける考え。

 国の地方創生加速化交付金を活用する予定。調査費8千万円を2015年度補正予算案に計上し、全額を16年度に繰り越す。(広重久美子)

(2016年2月13日朝刊掲載)

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