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シベリア抑留刻む28点 福山の大村さん 夫の絵を人権平和資料館に寄贈

 福山市北吉津町の大村方美(まさみ)さん(86)が12日、第2次世界大戦後にシベリア抑留を経験した夫孝三さん(2000年に75歳で死去)が、抑留生活や引き揚げ時の自身を描いた絵28点を、市人権平和資料館に寄贈した。

 孝三さんは神戸市で生まれ育ち、戦時中、両親の出身地、福山市に転居した。1944年に戦地に赴いて旧満州(中国東北部)で敗戦を迎えた後、旧ソ連に送られた。収容所の衛生状態は悪く、食料は不足。数多くの仲間を亡くした。約3年の抑留生活を終え48年秋に福山市に帰還。「落ちていたものは何でもパンに見えた」などと当時を振り返ったという。

 孝三さんは絵を描くのが好きで、会社に勤めながら趣味で絵筆を執った。寄贈された絵の制作年は不明だが、帰還後、孝三さんが鉛筆や水彩絵の具などで極寒の地での体験を描き、説明文を添えたという。

 大村さんは同館を訪ねて渡辺慎吾館長に絵を渡し、「戦争を繰り返さないため、抑留生活や戦争の実相を知ってほしい」と願った。同館は今年夏にも、企画展で孝三さんの絵を展示する予定。(小林可奈)

(2016年2月13日朝刊掲載)

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