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「体中やけど」「生き地獄」 被爆者2人「あの日」語る 江津で講演会

 島根県原爆被爆者協議会浜田支部の田中悦子さん(87)=浜田市杉戸町=と、古原ユキエさん(91)=同市松原町=が13日、江津市江津町であった講演会で「あの日」の体験を語った。講演会は市連合婦人会が戦後70年を機に開き、約350人が集まった。

 当時、学生だった田中さんは勤労奉仕の途中、爆心地から約2キロの大正橋(広島市南区)のたもとで被爆。その瞬間を「何が起きたか分からなかった。一瞬で体中にやけどを負い、右腕の皮膚が衣服のように垂れ下がっていた」と証言した。

 避難した寺で隣に寝ていた看護師の女性が「私が元気なら皆の世話をできるのに」と言いながら亡くなった。「生き地獄だった。いつまでもこの体験を語り継がなければいけない」と語った。

 古原さんは、被爆者の救護所となっていた大野陸軍病院(廿日市市)で看護師として勤務していた。「抱っこして」とせがむ5歳の女の子が腕の中で息を引き取ったことを振り返り、「今でも昨日のことのように思い出す。原子爆弾なんて要らないと、何度でも訴えていきたい」と語気を強めた。

 聞き入った民生委員の崎谷紀子さん(65)=江津市桜江町=は「戦争のない世の中にするため、私たちが若い世代に伝えていかなければ」と話していた。(松本輝)

(2016年2月14日朝刊掲載)

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