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海の警備 高まる緊張感 広島市南区元宇品で4月外相会合 6管・県警 住民らと連携

 5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に先立ち4月10、11の両日に広島市である外相会合に向け、第6管区海上保安本部や県警が海の警備に緊張感を高めている。会場は三方を海に囲まれ、周辺を多くの船が行き交う。安全確保には不審船などへの対応が重要で、住民たちと連携して慎重に準備を進めている。(長久豪佑、藤田智)

 会場となるグランドプリンスホテル広島がある宇品島(南区元宇品町)は約0・5平方キロの島で、東、西、南方向が海域。島への陸路は北側の橋1本に限られ、陸上警備は比較的容易だが、6管や県警などは不審船をどう認知するかを警備の重点事項に掲げている。

 付近は広島港(同区)を発着する定期フェリーなどが往来する。広島海上保安部によると、2014年に同港の出入港届を提出した20トン以上の船舶数は約6700隻。20トン未満の小型船の出入りも、昨年8月から半年間だけで約4500隻あるとみている。ホテル近くのマリーナには個人所有のプレジャーボートも多く停泊する。

 同保安部は、テロに使用されないよう放置船の調査を進める。定期的な監視が難しい県の係留禁止区域外で約50隻を確認。小型ボートの所有者には適切な管理を呼び掛ける一方、カキいかだの数や位置も把握し、警備への影響を調べている。

 海運業者や漁業関係者との連携や協力も重要になる。6管は開催に合わせて、特定エリアの航行の自粛要請も検討しているという。また、元宇品町内会は空き家の場所などを県警に伝えた。同町内会の原田芳雄会長は「要人も含め多くの人が集まる会議なので、事件がないように開催に向けて協力していきたい」と話す。

 6管と県警は不審な船舶に対応するため、すでに合同訓練などを実施し、隊列や無線による連携などを確認している。今後は、より実践的な訓練も重ねる方針だ。県警サミット対策課は「検問への協力など住民への説明を着実に進めたい」としている。

(2016年2月18日朝刊掲載)

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