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式典11年「変化ない」 「竹島の日」 関係者 進展見えず危機感 島根

 島根県が条例で定める「竹島の日」記念式典が松江市で開かれた22日、地元関係者からは領土問題の一日も早い解決を望む声が上がった。日韓関係に改善の兆しが見える中、式典が11回を重ねてもなお、進展がない現状に、関係者はいら立ちや危機感をあらわにした。

 「国の情報発信があまりに弱い」「11年前と何も変わっていない」―。この日の式典前、会場近くで県議会(定数37)の竹島領土権確立議員連盟(35人)などが初めて開いた「竹島問題を語る国民交流会」。約130人の参加者は、8グループに分かれての車座形式の意見交換で、出席した国会議員や県議に要望や不満を次々にぶつけた。

 北方領土問題と異なり、担当相や国会の特別委がない状態。「このままでは竹島問題は国民的な運動につながらない」との指摘が相次いだ。周辺での漁ができない状態が続く同県隠岐の島町の漁業関係者は「領海の問題と漁業は不可分だ」と早期解決を訴えた。

 昨年末の従軍慰安婦問題に関する日韓合意など両国関係が改善傾向にある中、領土問題に展望は見えていない。式典後の取材で政府主催の式典について尋ねられた内閣府の酒井庸行(やすゆき)政務官は「諸般の状況を踏まえ検討する」と、昨年出席した松本洋平政務官と同じ言葉で回答した。同町の松田和久町長は「関係者は高齢化している。解決に時間がかかるなら、まず島民が早く漁をできるようにしてもらいたい」と危機感を口にした。

 会場周辺では、県警が過去最多の約770人態勢で警戒。活動したのは20団体約100人。10回目で日曜開催だった昨年の100団体480人に比べ大幅に減った。式典に反対する韓国人グループが韓国の国旗を掲げようとするなどしたため、県警が保護する一幕もあった。(秋吉正哉、川井直哉、松島岳人)

(2016年2月23日朝刊掲載)

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