艦載機移転 地元受け入れなら容認 就任から2年 村岡山口知事に聞く
16年2月24日
25日で1期目の任期を折り返す山口県の村岡嗣政知事(43)が23日、中国新聞のインタビューに応じた。2年間の成果に企業誘致や県産品の輸出でのトップセールスを強調。米海兵隊岩国基地(岩国市)への空母艦載機移転への対応では、地元市町の意向を尊重する立場をあらためて示した。転出者が転入者を上回る社会減の抑制に力を入れる一方、深刻な県財政を踏まえて「予算が組めない事態を避けるため、歳入歳出の両面で見直しを進める」と述べた。(村田拓也)
―就任から間もなく2年を迎えます。
本当にあっという間に過ぎた。1年目は県内各地を回って現状と課題の把握に努め、昨年3月に県政運営の指針となる総合計画をまとめた。2年目は最重要課題の人口減少に歯止めをかけ、山口への人の流れをつくる施策を進めてきた。
―手応えはどうですか。
企業誘致では2年間で55件の投資を呼び込み、計画で千人を超える雇用増につながった。台湾への県産品の輸出も始まった。山口宇部空港(宇部市)での初の国際定期路線となるソウル線就航にもめどが立ち、トップセールスでは成果を出せている。
―任期後半へ課題は。
まずは中四国地方9県で最多の社会減を食い止めたい。山口大を中心に2016年度、学生の県内就職を促す事業が始まるので連携していく。企業や政府機関の地方移転の実現など、一つ一つの取り組みを丁寧に積み重ねていく。外国人観光客の誘致や県産品の売り込みでも、2年間で足りない部分を補う新規事業を16年度から始めたい。
―その16年度当初予算案の編成では財源不足の解消に苦しみました。
予算編成を始める段階で財源不足は220億円に上った。貯金である財源調整用基金の16年度末の残高は72億4600万円で、目標に掲げた100億円を割り込む。17年度はさらに134億円が不足するとみており、このままでは基金をゼロにしてもなお足りない。
―県民に痛みを伴う歳出削減が迫られませんか。
歳入歳出を具体的にどう見直すかの議論は16年度に入ってからだが、県政運営で財政をどう守るかは相当な重しになっている。「これはやらない」という項目を、あらかじめ設定するつもりはない。ただ県民生活に支障が出るものは、できるだけ避けるのは当然だ。
―任期後半の17年ごろまでには、米海兵隊岩国基地への空母艦載機移転が予定されます。
地元(岩国市と和木、周防大島町)が受け入れを容認すれば、県も容認する。ただ具体的な時期は、その先の話だ。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設に見通しが立つのが前提で、情勢を見極める。政府がどう対応するかは特に重要だが、沖縄県との訴訟や協議の動向も注視する。
(2016年2月24日朝刊掲載)
―就任から間もなく2年を迎えます。
本当にあっという間に過ぎた。1年目は県内各地を回って現状と課題の把握に努め、昨年3月に県政運営の指針となる総合計画をまとめた。2年目は最重要課題の人口減少に歯止めをかけ、山口への人の流れをつくる施策を進めてきた。
―手応えはどうですか。
企業誘致では2年間で55件の投資を呼び込み、計画で千人を超える雇用増につながった。台湾への県産品の輸出も始まった。山口宇部空港(宇部市)での初の国際定期路線となるソウル線就航にもめどが立ち、トップセールスでは成果を出せている。
―任期後半へ課題は。
まずは中四国地方9県で最多の社会減を食い止めたい。山口大を中心に2016年度、学生の県内就職を促す事業が始まるので連携していく。企業や政府機関の地方移転の実現など、一つ一つの取り組みを丁寧に積み重ねていく。外国人観光客の誘致や県産品の売り込みでも、2年間で足りない部分を補う新規事業を16年度から始めたい。
―その16年度当初予算案の編成では財源不足の解消に苦しみました。
予算編成を始める段階で財源不足は220億円に上った。貯金である財源調整用基金の16年度末の残高は72億4600万円で、目標に掲げた100億円を割り込む。17年度はさらに134億円が不足するとみており、このままでは基金をゼロにしてもなお足りない。
―県民に痛みを伴う歳出削減が迫られませんか。
歳入歳出を具体的にどう見直すかの議論は16年度に入ってからだが、県政運営で財政をどう守るかは相当な重しになっている。「これはやらない」という項目を、あらかじめ設定するつもりはない。ただ県民生活に支障が出るものは、できるだけ避けるのは当然だ。
―任期後半の17年ごろまでには、米海兵隊岩国基地への空母艦載機移転が予定されます。
地元(岩国市と和木、周防大島町)が受け入れを容認すれば、県も容認する。ただ具体的な時期は、その先の話だ。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設に見通しが立つのが前提で、情勢を見極める。政府がどう対応するかは特に重要だが、沖縄県との訴訟や協議の動向も注視する。
(2016年2月24日朝刊掲載)