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戦後の広島 復興の息吹 近畿県人会副会長が撮影 市公文書館に写真ネガ寄贈

 広島市中区出身で近畿広島県人会副会長の飯田邦夫さん(83)=大阪市淀川区=が、被爆、敗戦から復興途上の1950年代半ばに広島県内で撮影した写真を、広島市公文書館(中区)に寄贈した。戦後の日常のワンシーンが収められた写真が多く残り、市公文書館はデジタル保存することを決めた。(下手義樹)

 寄贈したのは撮りためていた約400本のネガ。地域の祭り、農業や漁業に従事する人たち、大雨や大雪に見舞われた広島市内の光景と幅広く、原爆被害からの復興を歩む広島の息吹を読み取ることができる。市公文書館の中川利国館長は「記念写真ではなく、生活の一部が記録されたものは極めて珍しい」と強調する。

 広陵高を卒業した51年春、写真愛好家が集う「広陽カメラクラブ」に参加。二眼レフカメラを手に毎週土、日曜日に撮影会で県内各地に出向いた。被写体は現地で見つけていたという。「普段の生活の中で、人々の様子や表情を撮りたかった」と振り返る。大阪に移り住んだ63年まで、撮影会に参加していた。大阪でも写真クラブに入り、写真展で広島での作品を出品していたが「広島の人が見られるよう、残しておきたい」と寄贈した。

 飯田さんは広陵中1年の時に被爆した。「廃虚からの復興を経て、いまの広島の姿がある。若い人たちにはこの歴史を忘れてもらいたくない」と思いをはせた。

(2016年2月25日朝刊掲載)

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