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オール広島で平和発信 広島県、調整組織の設置検討

 広島県は新年度、核兵器廃絶や平和構築に関する県内の行政や大学組織のコーディネーター役となるセンターの設置を検討する。各機関の連携を促すことで被爆地・広島の拠点性を高め、発信力を強める目的。有識者による検討委員会で機能や運営形態などを協議し、年度内に方向性をまとめる。

 被爆や平和に関する県内の研究・事業は現在、広島市立大広島平和研究所(広島市安佐南区)や広島大平和科学研究センター(中区)、県、広島市などが担っている。現状では連携が十分でないとして、調整役を担う組織の構築を目指すことにしたという。

 センターはコーディネーター役を担うほか、独自の研究事業、情報の収集・発信や人材育成、継続的な平和活動の支援なども視野に入れる。当面は新たな施設整備はせず、既存の建物を活用して事務所を設け、集まった研究者や行政職員で運営する考えでいる。

 主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)を前に4月に広島市である外相会合で国際的な注目が集まる機会をとらえ、6月ごろまでをめどに識者などによる検討委員会を発足。センターの機能や運営形態について議論を始める。人材づくりなど、県事業として取り組みやすい分野から順次スタートさせることも想定する。また継続的に活動するため、基金創設も検討する。

 被爆地の果たすべき役割をまとめた県の「国際平和拠点ひろしま構想」の一環。湯崎英彦知事は「核兵器のない平和な世界に向けオール広島の機能を発揮したい」とする。

 県は2011年に構想を策定。これまでに、外相経験者たちが核軍縮を議論する円卓会議「ひろしまラウンドテーブル」、各国の核軍縮の取り組みを調査・分析する「ひろしまレポート」などに取り組んでいるほか、広島市と共同で被爆地の復興プロセスの研究も進めている。(明知隼二)

(2016年3月1日朝刊掲載)

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