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善意の児童洋書 目録着々 被爆地広島の文化復興へ米から寄贈 

市こども図書館 表題や特長を解説

 被爆した広島の文化復興を願い、1949年に米国から広島市へ寄贈された児童向けの洋書「ベル・コレクション」をひもとく冊子の編集が進んでいる。所蔵する市こども図書館(中区)が、昨夏迎えた被爆70年を機に着手した。関連の講演会を5日午前10時から市立中央図書館(同)で開く。(奥田美奈子)

 コレクションは30~40年代の絵本や小説など714冊。連合国軍総司令部(GHQ)民間情報教育局の元職員ハワード・ベル氏(1897~1960年)を通じ、米国の家庭から集められた約1500冊の一部をこども図書館が今も管理する。

 寄贈は同館が49年に開設されるきっかけになり、子どもたちが手にした。当時の米国の文化や流行がうかがえる貴重な資料だが、内容や価値を十分に調査できていなかった。

 冊子「解題目録」では、うち約100冊を取り上げ、表題や作者のほか、あらすじ、特長、米国での人気ぶりなどを1冊ずつ解説する。英米児童文学に詳しい梅花女子大(大阪府茨木市)の三宅興子・名誉教授が昨年、同館で調査し、執筆した。

 三宅名誉教授は「広島の子どもの未来を見据えた厚意が感じられるコレクション。一般家庭や学校で愛読されたであろう、多彩な本が残されていて興味深い」と話している。

 A4判、約100ページ。3月末までに千部刷り、市内の図書館などに置く。5日の講演会では三宅名誉教授がコレクションを解説する。無料。定員60人。申し込みは同館Tel082(221)6755。

(2016年3月2日朝刊掲載)

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