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福島の無念 アニメに 広島の団体制作 中区で10日上映 震災被災者に寄り添う

 東日本大震災で被災した福島ゆかりの物語を紙芝居にして上演している広島市の市民団体「まち物語制作委員会」が、被災地で知り合った人々の経験を基にしたアニメ「無念」を完成させた。5日に福島市で初公開し、広島市では10日午後6時半から、中区袋町の合人社ウェンディひと・まちプラザで上映会を開く。無料。

 作品は約1時間。福島第1原発事故の影響で国が避難指示を出した福島県浪江町の消防団員を主人公にした。大津波にのまれた町で撤退を余儀なくされた悔しさや、広がった風評被害への憤りを描く。

 震災直後から福島に通い、被災者支援と交流を続けてきた同委員会のメンバーが聞いた被災体験を基にしている。新沢孝重代表(81)=安佐北区可部=は「福島の人たちがずっと腹の底に納めてきた思いから、震災5年後のありのままを知ってほしい」と力を込める。

 紙芝居を作画する福本英伸さん(59)=廿日市市=が、アニメ制作を一手に担った。浪江町の消防団員や、全町避難を指揮した馬場有(たもつ)町長に加え、同委員会のメンバーと交流のある俳優大地康雄さん(64)も声優として協力した。同委員会は自主上映会の開催を呼び掛けている。新沢代表Tel090(5266)7495。(石川昌義)

(2016年3月4日朝刊掲載)

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