×

社説・コラム

『ひと・とき』 洋画家・福長弘志さん 黒の世界 追究したい

 「貴重な機会をいただいた。私が向き合ったヒロシマを多くの人に見てもらえたら」。東京都美術館(東京都台東区)で8日まで開催中の「二紀会の仲間たち10人」展に、中国地方からただ一人参加している。

 戦争と被爆の記憶を描いた大作8点を出展。ナチスによる大虐殺があったフランスの戦跡オラドゥールに取材し、近年取り組む「ORADOUR」シリーズは、焼けて炭化した物体に被爆の焦土のイメージを重ねる。1999年の「BLACK WALL」など、現シリーズの原点ともいえる作品も並び、表現の深化が見て取れる。

 広島大在学中の79年に初入選して以来、二紀展を舞台に活躍し、現在は二紀会広島支部長。「今後も引き続き黒の世界を追究したい」(森田裕美)

(2016年3月4日朝刊掲載)

年別アーカイブ