×

ニュース

「回天」や自然 旅中の一瞬 林忠彦賞の小林さん 周南で写真展

 2008年に林忠彦賞を受賞した小林勝さん(89)=長崎市=の写真展「周防長門残照」が4日、周南市花畠町の市美術博物館で始まった。受賞を機に、写真家林忠彦(1918~90年)の出身地の同市を中心に県内を30回訪れ、撮影した81点を展示する。21日まで。

 08年5月、徳山港で旧日本軍の人間魚雷「回天」の実物大複製を見たのが撮影のきっかけ。戦時中、海軍特別幹部練習生だった小林さんは、前線に向かう同世代の若者を見送った。「彼らの苦しみや悲しみを追体験したい」と、同市の大津島に残る回天の訓練基地や、魚雷発射試験口などにレンズを向けた。

 関心は、歴史や自然にも向かった。同市の漢陽寺の燃え立つようなもみじ、波の高い萩市沖の日本海…。14年2月までに、小型のデジタルカメラで約3万枚を撮影した。

 初日に会場を訪れた小林さんは「回天から始まり、山口の歴史をたどった旅を感じてほしい」と話していた。(桑田勇樹)

(2016年3月5日朝刊掲載)

年別アーカイブ