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惨禍語る被爆時の地表 原爆資料館 発掘調査で出土 広島市が保存・展示方針

 広島市中区の原爆資料館本館敷地の発掘調査で、被爆当時の地表部分が出土した。焼け焦げた木製のしゃもじなどの生活用品がまとまって残る。市は、壊滅的被害を受けた一帯の旧中島地区の人の営みを物語る資料として資料館で保存・展示する方針を決め、7日、切り取り作業を始めた。

 本館敷地の北東部分で、現在の地面の約80センチ下から出土した。しゃもじのほか、焦げた弁当箱とみられる四角い金属の遺物などもある。これらがある縦約90センチ、横約60センチのエリアを切り取り、樹脂で固める。

 国立広島原爆死没者追悼平和祈念館では、建設前の1999年度の発掘調査で出た被爆時を含む地層の断面標本を展示。被爆時の地表の資料は原爆資料館にもない。市の委託で発掘に当たる市文化財団は「今回の調査の象徴的な部分。原爆が市民の暮らしを奪ったと伝えるのに役立てば」としている。(水川恭輔)

(2016年3月8日朝刊掲載)

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