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今後の拠点「未定」44% 広島のアスチカ 震災避難者調査 「県内に定住」は減

 東日本大震災後、東北と関東地方から広島県内に移住した人たちでつくる「ひろしま避難者の会アスチカ」は8日、会員を対象にしたアンケートの結果をまとめた。今後の生活拠点を現在地とする回答が前年より減った半面、「決めていない」が増えた。古里に帰るか、広島に住み続けるか、年月とともに迷いを深めている実態が浮かぶ。(永山啓一)

 会員116世帯のうち63世帯(54・3%)が回答した。生活拠点について「決めていない」は前年比6・1ポイント増の44・4%。「今住んでいる自治体に定住」は8・1ポイント減の30・2%だった。「古里に戻る」が6・3%、「別の自治体に移る」が4・8%で続き、ともにわずかに増えた。

 生活拠点を決めていない理由について、福島第1原発事故による放射線の不安を理由に広島への定住を望みながらも、遠方に残した親の介護に悩む声が増えていた。「定住したいが、経済的に不安」という声も目立った。福島県が自主避難者向けの家賃補助を2017年3月で打ち切るなど、支援策の縮小が影響しているとみられる。

 今後の不安を複数回答で聞くと「自分の健康」が52・4%と最多。家族の健康49・2%▽親の老後34・9%▽子どもの教育33・3%―が上位を占めた。つらいと思うことは、複数回答で「原発が再稼働されたこと」が49・2%で最多。親戚や友人に会えない46・0%▽生活費が足りない33・3%―と続く。

 アンケートは一昨年に始め、3回目。福島市から移住した佐々木紀子副代表(44)は「自主避難者への補助制度がなくなると、生活拠点に悩む人がさらに増える。健康に不安を抱える人も多く、支援策の充実を行政に訴えたい」と話している。

(2016年3月9日朝刊掲載)

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