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地道な国際交流に光 ヒロシマ平和創造基金 3団体1個人表彰

 国境を越え、地道な国際交流や平和活動を続ける団体と個人に贈る公益財団法人ヒロシマ平和創造基金の「国際交流奨励賞」の表彰式が8日、広島市中区の中国新聞ビルであった。広島県内の3団体と1個人に表彰状と奨励金が贈られた。

 理事長の岡谷義則中国新聞社社長が1人ずつ手渡しした。「被爆から復興した広島は国内外で苦しむ人を励ます役割を担っている。世界で交流する皆さんの活躍を祈りたい」と述べた。

 受賞者を代表し、広島ジュニアマリンバアンサンブル(西区)を主宰する浅田三恵子さん(62)が「私たちだけでは小さな力でも世界の人々と心をつなげ、平和の輪を広げたい」とあいさつした。グループは1991年に結成され、海外でも演奏。小中高校生15人が活動し、言葉の壁を越えて平和の音色を奏でている。

 日本語教室や海外研修などを続け、地元に住む外国人と住民の間の懸け橋役を94年から務めてきた海田町国際交流協会(海田町)。会長の沼静香さん(80)は、副会長の八木政子さん(69)と式に臨み、「子どもたちの間でも多文化への理解を進め、住みよい町をつくりたい」と抱負を語った。

 活動開始から50年が過ぎた県青年海外協力隊を育てる会(安佐南区)は、隊員の活動風景の写真の入ったカレンダーを高校に配るなどして若者の関心を高めている。会長の上田みどりさん(69)は「帰国後の隊員の再就職も支援し、グローバルな人材が広島で活躍できるよう努めたい」と話す。

 世界を巡る船旅などを通し、国内外で被爆証言を続ける七宝作家の田中稔子さん(77)=東区=は今後、自宅に平和交流スペースを設け、核兵器廃絶を求める声を発信していく。式は欠席したが、「体力の続く限り訴え続け、若い人につなぎたい」と話していた。

 賞は広島国際文化財団が98年に創設。本年度は、基金が引き継ぎ公募にした12年度以降で最多の13件の応募があった。(山本祐司)

(2016年3月9日朝刊掲載)

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