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社説・コラム

『この人』 中国電力の新社長に就任する 清水希茂さん 信頼築き 自由化に臨む

 電力小売りが全面自由化される4月1日、中国電力の新社長に就く。新規参入企業との本格的な競争時代を迎え「本当に重責だが、気持ちは前向き。競争の中でも会社を成長させる」と力を込める。

 呉市の三津田高から大阪大基礎工学部に進み、卒業後に地元就職を望んで中電に入社した。技術系で本社火力部や発電所5カ所を経験した。「とにかく発電所は地域との信頼関係が大事」。長い発電所勤務で学んだ教訓だ。

 2002年の三隅発電所(浜田市)の所長時代は設備トラブルで海に油を流出させ、地元への説明に追われた。「つらかった」と明かすのが、10年の島根原発(松江市)の点検不備問題。島根原子力本部長として、約半年間おわびで地元を歩き回った。「信頼はすぐ壊れる。痛切に感じた」

 中電は昨年6月、島根原発の低レベル放射性廃棄物の処理をめぐる虚偽記録問題で地元の反発を招いたばかり。「地域との向き合い方を肌で感じてきた。地域の理解がなければ、原子力は進まない」と強調する。

 若い社員にも慕われる気さくな人柄。新社長に指名した山下隆会長からは「現場から非常に信頼されている。地元も熟知し、軸がぶれない」と評される。

 趣味のゴルフはシングルの腕前。広島県大崎上島町での勤務時代にはチヌ釣りに夢中になり、今でも釣った魚を自ら調理する。1男1女が独立し、広島市中区で妻と2人で暮らす。呉市出身。(河野揚)

(2016年3月9日朝刊掲載)

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