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「決定踏まえ判断を」 中国地方の首長・住民 再稼働に注文 高浜運転差し止め

 関西電力高浜原発3、4号機の運転差し止めは、中国電力島根原発2号機(松江市)や四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の再稼働に影響する可能性がある。大津地裁が仮処分を決定した9日、原発近くの自治体の首長や住民からは、再稼働の判断には今回の決定を踏まえるよう求める声が聞かれた。

 9日午後、差し止め決定のニュースが流れると、広島市中区の中電本社内にも驚きが広がった。同社広報部門は島根原発への影響について「他社の訴訟であり、コメントできかねる」。ただ社内では「電力会社にとっては厳しい判決」との声も漏れた。

 中電は島根2号機の再稼働に向け、原子力規制委員会の適合性審査を受けている。建設中の3号機は審査への申請を準備中だ。いずれも住民が運転差し止め訴訟を起こし、2号機は広島高裁松江支部、3号機は松江地裁で争われている。

 松江市の「原発ゼロをめざす島根の会」の渡部節雄共同代表(84)は「運転中の原発を止める判断を司法が下した意味は非常に大きい」と受け止めた。

 鳥取県の平井伸治知事は、隣の滋賀県の住民が起こした訴訟だった点に触れ「周辺地域の意見も踏まえて再稼働が判断されるべきことを、司法も認めている表れではないか」と指摘。米子市の一部と境港市が島根原発から30キロ圏に入るため「周辺地域に配慮した再稼働判断のルールづくりを引き続き国に求める」とのコメントを出した。

 島根県の溝口善兵衛知事と、松江市の松浦正敬市長はともに「詳細が分からないのでコメントは差し控えたい」とした。

 一方、瀬戸内海の対岸にある伊方3号機はことし再稼働する見通しで、広島市の被爆者たちが11日に運転差し止めを広島地裁に提訴する。松山地裁では住民たちが運転差し止めを求めて起こした訴訟が係争中で、原告の一人で市民団体代表の木原省治さん(67)=広島市佐伯区=は「伊方の再稼働を止めるのに良い方向になった」と語った。

(2016年3月10日朝刊掲載)

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