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中国地方は166人減1779人 2月末避難者 家計への負担重く 東日本大震災きょう5年

 東日本大震災や福島第1原発事故をきっかけに、中国地方5県へ生活拠点を移した避難者が2月末時点で計1779人になることが、各県のまとめで分かった。5県とも前年同期に比べて少なく、計166人の減少。専門家は移住先での経済的な苦しさや、元の居住地に残した親族の勧めなどで戻る人が増えたとみている。

 県別では最多の岡山が45人減の1075人。広島386人(51人減)鳥取141人(30人減)山口108人(14人減)島根69人(26人減)の順だった。復興庁によると、岡山の避難者は西日本で最多。市民団体などが避難者を受け入れ、毎年2月末時点でみると5県で唯一増え続けていたが、初めて減少に転じた。

 避難前の居住地別では、福島が最多の714人で、宮城194人、岩手31人。東北3県以外は840人で、放射線の影響を懸念した首都圏や北関東からの移住者が大半とみられる。

 福島県郡山市から尾道市に家族4人で自主避難した看護師笹島由江さん(46)は「子どもの進学などで家計は年々苦しくなる。福島に残した祖母や母の介護も心配」と打ち明ける。福島県が自主避難者への家賃補助を2017年3月で打ち切ることも懸念する。

 避難生活の実態を12年から調査している岡山理科大の緒方清隆非常勤講師(71)=都市計画学=は「原発事故の影響への不安から、当初は避難先への定住を考えていた人でも、家計や家族の問題を理由に帰郷するケースが増えている。行政支援も長期的には限界があるので、地域での支え合いが重要になる」と話している。(永山啓一)

(2016年3月11日朝刊掲載)

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