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脱原発や核被害考える 都内でシンポ 福島被災者ら講演

 福島第1原発事故から5年を迎えた11日、被災地の現状を学び、エネルギー政策の在り方を考えるシンポジウムが東京都内で相次ぎ開かれた。被爆地広島の関係者も参加し、核被害の恐ろしさについて語った。

 環境問題に取り組むNPO法人FoE Japan(東京)のシンポでは、被災者3人が講演した。福島県飯舘村の元酪農家長谷川健一さん(62)は休業に追い込まれ、同居していた息子一家とも離れて避難生活を送る苦しさを語り「誰にも同じ思いをさせないで」と脱原発を訴えた。

 福島市で被災した女性2人も「子どもにがんの不安を負わせた」「国は命綱の住宅支援を打ち切ってしまう」と不安を吐露した。

 平和運動家たち10人も登壇した。広島平和文化センターのスティーブン・リーパー前理事長(68)=三次市=は「核兵器も核エネルギーも国を消すほどの力がある。誰もが脱原発を真剣に考えてほしい」と述べ、約400人が聞き入った。

 日本原水協などのシンポには約80人が参加し、「放射能被害の根絶」をテーマに核・エネルギーの専門家と医師、弁護士が講演した。

 広島で被爆者医療に長年取り組み、現在は福島市在住の斎藤紀医師(68)は「被災者は、土地や仕事など生きる手だてを失い、将来の生活設計を今も描けないでいる」と指摘。「核被害の克服には時間がかかる」と強調した。(田中美千子、藤村潤平)

(2016年3月14日朝刊掲載)

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