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柳井駅地下道 明かり555本 東日本大震災5年山口県内でも思い新た

 東日本大震災から5年の11日、山口県内でも犠牲者を悼む催しや被災地での活動報告があり、復興支援と防災への思いを新たにした。

 柳井市のJR柳井駅地下道では、キャンドル555本をともし、犠牲者を悼んだ。市職員有志が初めて企画。紙コップに収めたろうそくを通路両脇に並べ、被災地の写真パネルも置いた。

 地震発生時刻の午後2時46分、照明の一部を消すと、明かりが連なった。友人と通りがかった熊毛南高3年冨田香奈さん(18)=周防大島町=は「当時、現実とは思えない光景にショックを受けた。被災地復興に協力したい」と話した。

 同市文化福祉会館では、原発問題などを取り上げたドキュメンタリー映画「祝福(いのり)の海」の上映会があった。

 山口市駅通りの飲食店では、県立大の学生が被災地を訪れた体験を報告。震災を機に地元の同市に戻ったオーナーのクワシー優子さん(42)が企画した。3年磯崎歩さん(21)は写真を見せながら、「生きることについて考えるようになった。命の大切さを伝えていきたい」と語り掛けた。

 県庁では職員約2千人が午後2時46分から1分間黙とうした。2013、14年度に福島県庁へ派遣された観光振興課の大川謙一さん(46)は「もう5年がたった。復興の長期化に伴う風評被害や風化が心配」と話した。

 市町でも地震発生時刻に思いを共有した。岩国市から11年夏に宮城県東松島市へ派遣され、被災者の健康調査に携わった介護保険課の森本聡子課長(56)は「今でも現地の方々の生活がどこまで回復したか気になる。惨状を忘れず、日ごろから声を掛け合える地域づくりを心掛けたい」。

 周南市呼坂の光地区消防組合北消防署。震災直後、消防司令補の中原一成さん(41)と消防士長の河島大地さん(26)たち5人が緊急消防援助隊として派遣された。2人は「現地で見聞きし感じたことを責任を持って地域の人に伝え続ける」とし、同僚と東北地方の方角に向けて黙とうした。

(2016年3月12日朝刊掲載)

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