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[忘れない 震災5年 しまね] 祈り 被災地に届け 島根県内各地で追悼イベント

 東日本大震災発生から5年を迎えた11日、島根県内各地で犠牲者を悼み、復興を願う催しが相次いであった。月日の流れを胸に刻み、なお爪痕が深く残る被災地への祈りをキャンドルの光や歌に委ねた。(江川裕介、森田晃司、西村萌)

灯火で「3・11」

 吉賀町では夜、2カ所でキャンドルの集いがあった。吉賀高では地域クラブの2年生7人が中心となって企画。約千個で浮かび上がらせた「忘れない3・11」(縦約3・6メートル、横約2・7メートル)の文字を生徒や教諭が囲み、校舎の壁には被災地を襲った津波などの映像も投映した。町林業総合センターでは住民有志が「絆」の文字をともし、来場者に豚汁などを振る舞った。

花の種を託す

 浜田市の松原小は、被災地に花の種を贈る活動を続けるシンガー・ソングライターhacto(はくと)さん(42)=鳥取市出身=を招き、全校児童183人が集めたアサガオやヒマワリなど計900グラムの種を託した。

 「早く元気になってという私たちの思いも運んで」。5年の鬼城千歩梨さん(11)と江尾ひなたさん(11)からメッセージと一緒に種を受け取ったhactoさんは「今も闘う被災地の人たちにしっかり届ける」と笑顔で約束。江津市の桜江小児童と作詞した「幸せ色した花々」など4曲を披露した。

 9日には美郷町の邑智小、10日には桜江小から種を受け取った。種は福島県相馬市の団体を通じて、近く再開するJR常磐線の小高駅(同県南相馬市)の花壇に植えられる。

歌声に込めて

 松江市のJR松江駅構内ではチャリティーコンサートがあり、山陰フィルハーモニー管弦楽団の10人が「見上げてごらん夜の星を」など3曲を演奏。地元のコーラスグループ「みすず会」と島根大混声合唱団も歌声を響かせた。震災発生の午後2時46分には集まった約100人が被災地を向いて黙とう。復興支援ソング「花は咲く」を合唱して心を一つにした。

 初めて参加した島根大3年の武永詩季さん(21)=同市学園=は「5年たっても不安を抱えながら避難を続けている被災者もいる。遠い場所だけど歌うことが少しでも応援になれば」と願っていた。

 松江駅など同市内の3カ所では、日本赤十字社県支部の呼び掛けで高校生たち約60人が募金活動をした。

(2016年3月12日朝刊掲載)

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