×

ニュース

子どもに「生の物語」を 日本ペンクラブ 広島でフォーラム

 日本ペンクラブのフォーラム「子どもたちの未来、子どもの本の未来」が13日、広島市中区の広島国際会議場であった。戦争や原爆、原発の問題と向き合ってきた作家たちが子ども向けの本の意義や可能性について意見交換し、約200人が聞き入った。

 同クラブ会長の作家浅田次郎さんが基調講演。戦災などの記憶が風化していく問題に触れ、「風化の正体は記憶が画一化されていくこと。子どもたちには生の物語を伝えていこう」と強調した。

 評論家の野上暁さんの進行によるパネル討論では、被爆者でもある児童文学作家の那須正幹さんが「70年以上も前のことが子どもに伝わるのか、不安を感じながら書いている」と明かした。

 原発事故後も福島にとどまる牛飼いの姿を絵本にした森絵都さんは「子どもには本質をぱっと捉える力がある」と語り、ヒロシマを題材に物語を紡いできた朽木祥さんは「声高にではなく、できるだけ静かに、でも諦めずに伝えていきたい」と力を込めた。(石井雄一)

(2016年3月14日朝刊掲載)

年別アーカイブ