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被爆樹木で各地に勇気 広島の国分さん 種など寄贈

 広島市中区白島九軒町、宝勝院の名誉住職国分良徳さん(83)が、一緒に原爆に耐えた境内のボダイジュとツバキの「2世」を各地に贈る活動を進めている。母と3人のきょうだいを奪った原爆への思いを胸に、「木の成長を見守りながら平和の大切さを考えてほしい」と願っている。

 国分さんは、爆心地から約1.7キロの宝勝院で被爆、崩れた寺の下敷きになったが、助かった。その後10日間ほど、焼け残ったボダイジュの下で野宿した。ツバキは根元以外は焼けたが、翌春に新芽を出し、自分や家族は勇気をもらった。

 約30年前から被爆ボダイジュの苗を栽培。2月末には約1.2メートルに成長した1本を中区の縮景園に寄贈した。

 ボダイジュの種と挿し木用のツバキは、国連訓練調査研究所(ユニタール)などでつくり被爆樹木の種苗を国内外へ贈っている「緑の遺産ヒロシマ」に託した。メンバーで樹木医の堀口力さん(66)=西区=が数年かけて育て寄贈の準備をする。

 国分さんは「たくましく生きた被爆樹木は、ヒロシマが復興した姿と重なる。花を咲かせるたびに広島を思ってほしい」と話している。(増田咲子)

(2012年3月5日朝刊掲載)

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