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空きビル 平和芸術拠点に 中区本通の3棟 若手集団 外壁に絵

 広島市中区本通の一角で南北に隣接する空きビル3棟が、解体されるまでの間、「記憶の再生」をキーワードにした平和の発信拠点になる。地元の若手芸術家集団「プロジェクト・ナウ!」のメンバーたちが外壁アートを完成させた。10日にはギャラリーもオープン。記憶と向き合い、平和について考えてもらう企画や作品展示などをする。(新本恭子)

 同じ不動産業者が所有し、解体方針が決まっている4階建て2棟と3階建て1棟。外壁アートはメンバー2人と、交流のある芸術家1人が「日常の平和」を象徴するそれぞれの記憶をモチーフに描いた。街で聞こえる擬音や、布のひだをイメージしたデザイン、体が「糸巻き」でできたキャラクターの絵を、壁やシャッターにモノトーンで配した。

 ギャラリーは、最も南の4階建てビルの1階に5月ごろまでの期間限定で開設する。企画や展示の内容は2週間程度で変える予定。第1弾の10~22日はタブレット型多機能端末iPad(アイパッド)を用意。被爆者の証言と被爆地点を立体地図上で紹介するインターネットサイトや、東日本大震災の被災状況や復興を伝える写真、被災者証言を伝えるサイトを見てもらう。

 同じビルの2、3階は室内の壁を計36区画に仕切ってキャンバスに見立てる。1区画千円で希望者の申し込みを受け、記憶の再生をテーマに絵を描いてもらう。

 ビルの解体時期は未定。解体までの活用策として業者から提供を受けた。プロジェクト・ナウ!の安彦恵里香代表(33)は「アートは想像をめぐらせる仕掛けになる。平和を考えるきっかけにしてもらえれば」と話している。入場無料。

(2012年3月5日朝刊掲載)

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