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3機関の一部 山口県へ 政府移転方針 岩国に艦艇装備研

 政府は16日、防衛装備庁艦艇装備研究所(東京)など3研究機関の一部機能を山口県に移す方針を固めた。艦艇装備研究所は水中無人機の試験評価施設を2021年度にも、岩国市で稼働させる。宇宙航空研究開発機構(JAXA、東京)は16年度に研究センターを宇部市に、水産総合研究センター(横浜市)は17年度に共同研究拠点を下関市に、それぞれ設ける。18日に発表する。

 県は昨年6月、JAXAの人工衛星の観測データを受信・処理する施設を山口大工学部がある宇部市へ、水産総合研究センターの3部門を水産大学校がある下関市へ、それぞれ誘致を目指すと表明。8月には艦艇装備研究所を加え、海上自衛隊で唯一の航空掃海部隊がある岩国航空基地(岩国市)周辺への移転を提案していた。県が求めたすべての機関で、一定の成果が得られた格好だ。

 艦艇装備研究所は、水中の広範囲で長期間、警戒監視や情報収集をする無人機の性能を評価する「岩国海洋環境試験評価サテライト(仮称)」を新設する。大型水槽や傾斜試験設備、模擬実験装置などを整備する方針。政府は16年度に県、岩国市と設置条件などを協議し、17年度予算の概算要求への費用計上を目指す。

 無人機の技術開発は、海底地形の把握や資源探索など、民間部門への応用も見込まれる。県は研究所の誘致で、共同研究を担う民間企業が周辺に立地する効果に期待している。現在約110人いる職員がどのくらい移り住むかなどの詳細は、今後詰める。

 JAXAは「西日本衛星リモートセンシング防災利用研究センター(仮称)」を開く。14年5月に打ち上げた、洪水の浸水被害や地震による地殻変動を把握できる陸域観測技術衛星「だいち2号」のデータ解析装置などを整備し、国際連携や人材育成での将来的な機能拡充も探る。県は山口大を加えた3者で協定を結び、防災対策の強化につなげる。

 水産総合研究センターは共同研究拠点となる地域連携室を水産大学校に設置する。水産物の輸出促進策や漁業の経営改革などのテーマで、県や下関市、県漁協(下関市)などと連携して研究を進める。(村田拓也)

(2016年3月17日朝刊掲載)

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