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世界で核廃絶署名へ 日本被団協 結成60年 危機感

 反核運動を引っ張ってきた国内外の被爆者が、核兵器廃絶に向けた条約の締結を各国政府に迫るため、近く国際署名運動を始める。8月で結成60年となる日本被団協が、廃絶の道筋が見えない現状に危機感を抱き「生きている間に実現したい」と運動を提唱した。核兵器の法的禁止を求める国際世論の盛り上げを図る。

 坪井直代表委員(90)=広島市西区=たち被団協の役員や米国、韓国などの9人が呼び掛け人になる予定。広島で被爆したブラジル被爆者平和協会の森田隆会長(92)、カナダの証言者サーロー節子さん(84)も名を連ねる。

 署名のアピール文は、被爆後の広島、長崎の惨状や被爆者が今なお抱える心身の苦しみに触れ、核兵器を「悪魔の兵器」と表現。被爆者の平均年齢が80歳を超えた現状を踏まえ「後世の人々が生き地獄を体験しないように」と、存命のうちの実現を訴える見通しだ。

 集めた署名は国連へ届ける。呼び掛け人の一人、田中熙巳(てるみ)事務局長(83)は「被爆者はもう待てない。保有国の国民を含む世論を喚起し、国際政治を動かしたい」と話している。

 呼び掛け人たちは23日、東京都内で記者会見する。(田中美千子)

(2016年3月19日朝刊掲載)

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