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被爆者遺品 悲しみ伝えて 広島の原爆資料館で「新着展」 

昨年度寄贈 衣服・はがき74点

 広島市中区の原爆資料館に昨年度寄贈された被爆資料や遺品を紹介する「新着資料展」が18日、同館東館で始まった。被爆死した家族の形見として、遺族が大切にしてきた衣服やはがきなど74点。原爆被害の悲惨さを伝えている。(水川恭輔)

 あの日、小町(現中区)の中国配電(現中国電力)に出勤した浜田才(はじめ)さん=当時(17)=が着ていた上着のそばに、広島女子商1年で建物疎開作業に動員された妹の満子さん=同(13)=の花模様の布製物入れが並ぶ。そばには2人の遺影も。被爆13日後に自宅で相次ぎ逝った。

 遺品は、妹の良子さん(66)=安佐北区=が惨禍を刻む資料を掘り起こした中国新聞の特集「伝えるヒロシマ」を見て寄贈した。2003年に亡くなった母親が遺品の包みを開いては涙する姿を見て育ったといい、「手放す寂しさもあったけど、原爆の悲惨さ、残された家族の悲しみを知ってほしい」と願う。

 昨年度は44人から計205点の資料が寄せられた。会場には、喜馬理陽(まさはる)さん(83)=安佐南区=の父のはがきも展示。喜馬さんも同特集を見て被爆死した父の形見を資料館に託した。被爆瓦や、戦後復興期の市街地の写真なども紹介している。無料。11月30日まで。

(2016年3月18日朝刊掲載)

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