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ベトナム戦争 記憶を表現 広島市現代美術館 「ディン・Q・レ展」開幕

 国際的に活躍するベトナム人アーティスト、ディン・Q・レさんの創作をたどる「ディン・Q・レ展 明日への記憶」が19日、広島市現代美術館(南区)で始まった。同館と中国新聞社の主催。5月15日まで。

 ベトナム戦争を主テーマに、公的な歴史の陰に隠れがちな個人の記憶を、立体や映像など多様な手法で表した17作品が並ぶ。

 1968年、カンボジア国境近くに生まれたレさんは10歳ごろ、ポル・ポト派の侵攻から逃れて家族で渡米。カリフォルニア大在学中、ベトナム戦争が米国人の視点でのみ語られることへの違和感を、両国の犠牲者数を比べるポスター風の作品に表現した。

 本展はそのポスターなど初期作品から、日本で取材した最近作までを紹介。ナショナリズムや戦争の本質を問い掛けつつ、皮肉やユーモアも交えた軽妙さもあり、来場者を楽しませている。月曜休館(3月21日は開館し22日休館)。(森田裕美)

(2016年3月20日朝刊掲載)

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