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2万円振興券 配布中断 上関町方針 原発財源見通せず

 山口県上関町は、約3500人の全町民を対象にした1人当たり2万円の地域振興券の配布を2012年度は中断する方針を決めた。同町は中国電力の原発建設予定地。国の原子力政策見直しで原発関連の交付金などが見通せず財政計画に不安が残るため、一般会計当初予算案への事業費計上を見送った。

 振興券は1枚千円が20枚セットで、地域経済の活性化と生活支援を目的に10年度から導入した。11年度は8月1日から半年間、町内の商店や理髪店など116事業所で使えた。町民の約97%が受け取り、ほぼ100%の使用率だった。

 町は07年8月~10年12月に中電から5回計24億円の寄付を受けている。国からの原発関連交付金は40億円を超える。そうした財源を背景に、町は一般財源の剰余金を積み立てた「町ささえあい基金」で振興券の事業費約7千万円を賄ってきた。

 一方、高齢者のバス利用補助や小中学生の医療費無料化など基金を充てる他事業は継続する。町は「基金を積み増す要因が見えにくいため振興券は見合わせた。13年度以降は未定」としている。

 12年度の一般会計当初予算案は41億7200万円で11年度比5.1%減。温浴施設の完成による建設事業費の減少や振興券見送りなどもあり4年ぶりのマイナスとなる。(久保田剛)

(2012年3月7日朝刊掲載)

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