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中国地方に避難の震災被災者 「地元に帰らぬ」6割 本社アンケート

 東日本大震災の被災地から中国地方に避難した人を対象に中国新聞が6日までに実施したアンケートで、約6割が「地元に帰る予定はない」と答えた。半年前からさらに増えた。また、避難先で仕事に就く意思のある人の約半数は「求職中」と回答。全体の7割強が「家族の健康.病気」に不安を抱いており、厳しい生活実態が浮かぶ。

 避難者対象のアンケートは昨年5、6、9月にも実施。震災1年を前に今回は57人(48世帯)が回答した。

 震災前の家に戻って暮らす予定を尋ねたところ、「ない」が33人(57.9%)だった。理由は「1年たっても放射線量があまり変わらない」(福島県郡山市37歳女性)、「帰る家がない」(宮城県石巻市21歳男性)など。帰宅予定が「ある」とした9人(15.8%)のうち7人も、時期は「未定」。昨年9月のアンケートでは4割強が戻る予定は「ない」と答えていた。

 福島第1原発事故に伴う放射性物質による汚染などを受け、避難の長期化や定住を覚悟しつつあるとみられる。

 避難先での仕事については、就労の意思のある43人のうち「見つかった」は23人にとどまった。収入源確保もままならない生活が続いている。

 今の生活と将来について「不安に感じること」を複数回答で尋ねた質問は、「家族の健康.病気」が70.2%で最多。食品からの放射性物質検出が相次いだことなどを受け、昨年9月時点(55.3%)から大きく増えた。

 続いて多いのは「生活費」で59.6%。自由記述欄には「主人の就職が決まったが、収入は以前の半分」(東京都42歳女性)、「唯一の収入源である失業給付がもうすぐ切れる」(岩手県釜石市40歳男性)などと記す。「放射線の影響」は54.4%で、引き続き半数強が懸念している。

 また、「心身の不調」の有無についての質問に、全体の6割弱の33人が「ある」と訴え、うち18人が医療機関で診察を受けていることも分かった。

(2012年3月7日朝刊掲載)

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