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平和願う心胸に巣立つ福島の子 大玉村 折り鶴再生紙で証書

 「平和への思いを胸に羽ばたいて」―。福島県中部の大玉村に五つある全ての幼稚園と小中学校が今春から、平和記念公園(広島市中区)内の原爆の子の像にささげられた折り鶴の再生紙を活用した修了・卒業証書を使用する。大玉村によると、本年度から始めた広島市以外で使われるのは初めてという。

 同村は2009年、平和首長会議に加盟。以来、毎年8月6日の平和記念式典に村の小中学生が参列、村内の2幼稚園、2小学校、1中学校の子どもたちが折った千羽鶴を原爆の子の像にささげてきた。

 昨年夏の式典に子どもたちを引率した大玉中の渡辺康弘校長が、福島に戻った後、広島市立の幼稚園や学校で卒業証書に折り鶴再生紙が使われるとラジオで知り、村教委を通じて広島市教委に確認。「子どもたちが折った鶴も再生紙になって戻ってくるかもしれない。いい記念になる」と使用が決まった。

 同中では、卒業式の前から校長室の前に証書を掲示。生徒が立ち止まり、ピンクや水色の折り紙片を見て「あ、折り紙が本当に入っている」と話していたという。11日にあった卒業式では、渡辺校長が「証書を目にすることがあれば、平和について考えてほしい」と卒業生に呼び掛けた。

 2幼稚園は18日に卒園式を開催。2小学校は23日に卒業式を開く。小中学校と幼稚園合わせて245人に折り鶴再生紙を使った証書が渡される。(二井理江)

(2016年3月21日朝刊掲載)

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