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福島向け情報提供強化 放影研諮問委 健康管理へ提言

 放射線影響研究所(広島市南区、放影研)の研究内容を審議する科学諮問委員会(13人)は7日、3日間の日程を終えた。福島第1原発事故に伴う福島県民の健康管理に向けた研究や情報提供を強化するよう提言した。

 終了後に会見した酒井一夫共同座長(放射線医学総合研究所放射線防護研究センター長)たちによると、原発事故後の放影研の対応は、諮問委では被曝(ひばく)線量に応じた健康影響などの情報を関係機関に速やかに提供した点を評価する声が多かったという。

 その上で、喫煙、肥満などの生活習慣上の要因と被曝が重なった場合の発がん率への影響をテーマにした研究について酒井座長は「原発事故の対応にも適用できる可能性がある」と進展に期待した。

 諮問委では、被爆直後の広島、長崎で計1万3千人が「黒い雨」を浴びたと回答したデータを放影研が保管していた問題も討議。引き続きデータ活用の検討を促された。

 諮問委は正式な勧告書をまとめ、4月に放影研に提出する予定でいる。放影研の大久保利晃理事長は「勧告を基にできるところから始めたい」と話していた。(田中美千子)

(2012年3月8日朝刊掲載)

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