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社説・コラム

『この人』 陸上自衛隊第13旅団長に就任した 鈴木直栄さん 

思いやり胸に任務遂行

 安全保障関連法の29日施行を前に、陸上自衛隊第13旅団(広島県海田町)に着任した。「法が整備されたといっても国を守り、国際任務を果たす役割は同じ。どんな局面にも即応できる物心両面の準備を整える」と強調する。

 集団的自衛権の行使を認め、自衛隊の海外活動を大きく広げる安保関連法。同旅団は、国連平和維持活動(PKO)で南スーダンなどへの派遣実績があり、今後も要請はありそうだ。「国際情勢の多様化は意識している。運用規則などに基づき行動する」

 これまでの勤務は東京の陸上幕僚監部や北海道の上富良野駐屯地など東日本が大半。東日本大震災の時は、陸幕の総務課長として災害出動部隊に資材を送る業務に携わった。「手袋や胴長防水具など、現場の要請に応じてかき集めた。縁の下の力として印象深い経験だった」。第13旅団着任時も真っ先に広島土砂災害の被災地を視察した。県民の期待にどう応えるか、あらためて心に刻み込んだという。

 自衛官を志したのは、防衛大学校に入った兄の制服が輝いて見えたから。憧れて後に続いた。「在学中に得た同期生との絆が今も財産。互いの力と信頼感を基にした思いやりの心は、それ以来の私の信条になった」。23日の着任式の訓示でも千人の隊員に「家族や後輩への思いやりを」と呼び掛けた。

 休日には管内の中国5県を巡ろうと考えている。防衛大学校時代は野球部。マツダスタジアムでのプロ野球観戦も楽しみだ。横浜市の自宅に妻と2男1女を残し、海田町の官舎に単身赴任。新潟県出身。(田中伸武)

(2016年3月29日朝刊掲載)

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