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核軍縮の停滞映す ひろしまレポート

 広島県が発表した「ひろしまレポート」は、核軍縮の進展が見えない各国の現状を浮き彫りにした。1月に北朝鮮が4度目の核実験に踏み切るなど、軍縮に逆行した動きもある中、関係者は4月10、11日に広島市である外相会合での成果に期待を寄せる。

 「核軍縮をめぐる状況は停滞していると言わざるを得ない」。30日、ひろしまレポートを発表した記者会見で、県の「国際平和拠点ひろしま構想」推進委員会の阿部信泰副座長は厳しい表情を浮かべた。阿部氏は停滞の要因として、①米ロ関係の悪化②中東情勢③北朝鮮や中国の軍事的動向―の三つを挙げた。

 国際的な緊張が高まる中で、昨年4、5月にあったNPT再検討会議では、核保有国と非保有国の対立から最終文書を採択できず決裂。その流れを受けた12月の国連総会でも、核兵器の非人道性や核軍縮に関する決議案への反対や棄権が相次ぎ、今回のレポートの結果に反映された。

 被爆地で開催される外相会合は、核軍縮・不拡散も議題の一つとなるとみられる。県は各国の外相にレポートを配布する意向だ。湯崎英彦知事は30日の記者会見で「日本が議論をリードし、核軍縮に向けた具体的なアクションにつなげてほしい。テロ問題を含めた核不拡散の実効的な議論も望む」と強調した。(松本恭治)

(2016年3月31日朝刊掲載)

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