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避難車両「必要」2割 島根原発5キロ圏 事故時の実態調査

 中国電力島根原発(松江市鹿島町)5キロ圏内の住民のうち、原発事故時の避難にバスや福祉車両を必要としている人が、2割に当たる2018人に上ることが、島根、鳥取両県の調査で分かった。同市で30日にあった原子力防災連絡会議で報告した。

 支援のニーズや移動手段を尋ねた調査。昨年10~12月、5キロ圏は全3254世帯を戸別訪問し、3071世帯(8939人)から、5~30キロ圏は約18万世帯から抽出した2500世帯のうち1111世帯(3456人)からアンケートで回答を得た。このほか、30キロ圏の社会福祉、医療計356施設でも調べた。

 5キロ圏では、15施設の入所者も含めた9442人のうち、701人が移動手段と人の支援の両方が必要と回答。どちらか必要だったのは360人で、病気などで支援があっても避難が難しいとした人も34人いた。

 5~30キロ圏では、住民の要支援者のうち、6・8%がバスが必要と回答した。両県の5~30キロ圏の人口約45万7千人から推定すると約3万1千人となる。車いすやストレッチャー対応の福祉車両を求めた人も1・7%いた。

 両県の広域避難計画では、30キロ圏の松江、出雲、安来、雲南、米子、境港の6市の住民の避難先を両県と広島、岡山県の計69市町村に指定し、指定外への避難も可能とする。今回の調査では5キロ圏の約9割、5~30キロ圏の約8割が指定の避難先に行くと答えた。

 要支援者の避難の難しさが浮き彫りとなった形で、島根県避難対策室の小池誠室長は「車両や人員を確保する仕組みを、国や関係自治体と検討していく」とした。(秋吉正哉)

(2016年3月31日朝刊掲載)

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