×

ニュース

愛宕山 月内売却は困難 米海兵隊移転 岩国案再打診 県、「債務」先送りへ

 米国が在沖縄米海兵隊の一部を岩国基地へ移転する案を日本政府に再打診したことで、山口県の公社が所有する岩国市の愛宕山地域開発事業跡地の政府への売却は、政府が希望する3月末までの実現が困難な情勢となった。

 県は、海兵隊移転案への対抗措置として引き続き売却を留保し、跡地を所有する県住宅供給公社が抱える約169億円の債務処理を先延ばしする方針。一方で、日米協議が長期化すれば債務を「穴埋め」する財源措置も迫られる。

 9日の県議会本会議後、取材に応じた二井関成知事は「政府は(在沖縄米海兵隊の)岩国への移転は考えてないという。信頼して今後の協議の結果を待ちたい」と述べ、政府への「信頼」を強調した。

 在沖縄米海兵隊の岩国移転案は当初、2月上旬に浮上。二井知事は即座に岩国市の福田良彦市長とともに「断固反対」の姿勢を表明し、愛宕山跡地の売却留保を抗議の「盾」とした。

 政府も野田佳彦首相をはじめ関係閣僚らが岩国移転案を否定。県は、日米協議で早期に米国側が折れれば、政府が本年度予算に取得費を計上している愛宕山跡地の処分に踏み切る方向で交渉の行方を見守っていたが、逆に米国側は移転を再打診した。

 県は3月末に公社を解散するが、売却が実現しない場合はその後も清算法人が跡地を引き継ぎ、約169億円の債務処理を先送りする方針。ただ、3月末までに国へ売却する前提で新年度予算を組んでおり、二井知事も債務を穴埋めする財源措置について「そこまで考えていない」と話している。(金刺大五)

(2012年3月10日朝刊掲載)

年別アーカイブ