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海兵隊移転案 米が再打診 岩国軽視 市民ら憤り 政府への不快感あらわ

 「岩国は軽く見られている」―。米政府が在沖縄海兵隊のうち、約1500人を岩国基地へ移転させる案を日本政府に再び打診していたことが判明した9日、地元岩国では市民たちが侮られた怒りや日本政府への不快感をあらわにした。(酒井亨、大村隆、金刺大五)

 「やっぱり。想定通りだ」。愛宕山地域開発事業跡地への国の米軍住宅計画に反対する「愛宕山を守る会」の岡村寛世話人代表は語気を強めた。県と市は移転案に「断固反対」を示し、国への跡地売却を留保。「知事も市長も留保なら目的は同じ。私たちと共闘できる」と話す。

 7日には、米軍普天間飛行場(沖縄県)に配備予定の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの一時駐機先として岩国基地が浮上したばかり。岡村世話人代表は「沖縄の負担とてんびんにかけ、国は(在沖縄海兵隊を)最終的に受けざるを得なくなるのではないか。負担は今後、どんどん増していく」と危機感を強める。

 「岩国爆音訴訟の会」の津田利明共同代表も、米空母艦載機の移転計画を挙げ「過去の経緯から国も米側も岩国を軽く見ている。打診があろうがなかろうが、負担増はあり得ない」と憤る。

 米軍再編に協力姿勢の岩国市議21人でつくる「岩国基地問題に関する議員連盟」の桑原敏幸会長は「岩国は国の外交と防衛政策に十分協力している」と強調。「国は日本全体で再編を見直すべきだ」と注文を付ける。

 福田良彦市長は「政府や地元選出の与党国会議員から何の話もない。不誠実さを感じる」と批判する。

 一方、二井関成知事は「振り回されるのはどうかと思う。日本政府は岩国移転は考えていないということなので、信頼して今後の協議の結果を待ちたい」と冷静な対応にとどめた。

(2012年3月10日朝刊掲載)

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