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広島の原爆資料館値上げ好意的 44年ぶり変更 大人200円に 来館者「増収分で内容充実を」

 広島市は1日、原爆資料館(中区)の入館料を値上げした。大人料金は一気に150円アップの200円に。変更初日に国内外から訪れた来館者は「十分価値ある展示」「増収分で内容の充実を」とおおむね賛同の声を上げた。(和多正憲)

 「四国から見たきのこ雲を思い出し、言葉が出なかった」。初めて訪れた松山市の西原幸雄さん(84)は強調した。「これだけの展示で今まで50円だったとは」

 資料館は1955年に開館。当時20円(13歳以上)だった大人料金は72年に50円(16歳以上)にして以降、44年間据え置いていた。今回、高校生と65歳以上のお年寄りも70円増の100円に。東区の会社員岡田弘さん(68)は「展示品の保存に役立つなら当然の負担」と話した。

 2014年度の来館者(約131万人)実績で約2割を占める外国人観光客も好意的に受け止めた。オーストラリアの主婦ルビー・タイラーさん(42)は「京都の寺院は料金がもっと高くて驚いた。この展示品は値段で決められない価値がある」と語った。

 14年度の資料館の管理運営費は約3億3500万円。一方、入館料を中心にした収入は約5600万円で、不足分は市の一般財源を充てていた。今回の増収分は基金に積み立て収蔵品の補修などの平和施策に役立てる。市平和推進課は「館内に増収分の使い道を知らせるチラシを掲示し理解を求める」としている。

(2016年4月2日朝刊掲載)

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