×

ニュース

7ヵ国外相、平和公園へ 11日 核保有 米英仏は初 原爆資料館見学も 広島

 岸田文雄外相は2日、広島市で10、11両日に開催する外相会合で、ケリー米国務長官ら参加7カ国の外相がそろって11日に平和記念公園(中区)を訪れると正式に発表した。原爆資料館を見学し、原爆慰霊碑に献花する。原爆を広島、長崎に投下した米国をはじめ、同じく核兵器保有国の英国、フランスの現職外相が同公園を訪れるのは初めてとなる。(岡田浩平)

 各国外相らの同公園訪問で、停滞する核軍縮・不拡散の推進に向け、被爆地から国際社会に強くアピールする考え。5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に合わせ、オバマ米大統領ら各国首脳の被爆地訪問につながるかどうかという点でも注目される。

 岸田氏が中区で記者団に明らかにした。「世界の指導者に被爆地を訪問してもらい、被爆の実相に触れてもらうことは『核兵器のない世界』実現への国際的な機運を盛り上げる上で大変重要だ」と強調した。

 さらに、核兵器保有国と非保有国の対立が深まっていることを挙げ、「力強い核軍縮・不拡散のメッセージ『広島宣言』を出したい」と語った。外相らが直接、被爆者の証言を聞く時間を設けるかどうかには言及しなかった。

 外相会合は岸田氏が議長を務め、7カ国と欧州連合(EU)が参加する。過激派組織「イスラム国」(IS)などのテロ対策やシリア難民、北朝鮮や南シナ海の情勢などの課題を議論し、成果を議長声明として発表する。

 一方、米国務省も1日、ケリー氏が外相会合出席のため広島市を訪れると正式発表した。

 米国には、第2次大戦の早期終結に原爆投下が貢献したとの正当論が根強い。オバマ政権下ではルース、ケネディの歴代駐日大使らが広島市の平和記念式典に出席している。ケリー氏が訪れることで、オバマ氏訪問の地ならしが一段と進むとの見方もある。

実相に触れて

 広島市の松井一実市長の話
 大変喜ばしく、極めて意義深い。各国外相には直接被爆の実相に触れ、平和への思いを共有してもらうとともに、被爆直後の状況と今の状況を比較し、平和の尊さを実感してもらえると確信している。核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に向けてゆるぎない決意を固めていただきたい、と心より願っている。

平和の発信を

 広島県の湯崎英彦知事の話
 心から歓迎の意を表したい。各国外相が核兵器の非人道性について認識を深め、核兵器のない平和な世界への決意を固めてもらう絶好の機会。平和を願う気持ちを広島から発信していただくことを強くお願いしたい。伊勢志摩サミット参加国の首脳の被爆地訪問につながるよう、引き続き働き掛けたい。

(2016年4月3日朝刊掲載)

年別アーカイブ