×

ニュース

原爆ドーム足場撤去 3ヵ月ぶり 健全度調査が終了

 世界遺産の原爆ドーム(広島市中区)の保存状態を調べる健全度調査が終わり、外壁を覆っていた作業用の足場とシートが取り外された。被爆の記憶の象徴が10日、3カ月ぶりに全体の姿を現した。

 市はドームの「人間ドック」である健全度調査を原則3年ごとに実施。今回は2011年12月に始まり、ひび割れの状態や壁や鋼材の劣化度、壁面の防水材の効果を調べた。ドームの柵内には足場の資材が仮置きしてあるが、15日までに撤去する。

 兵庫県尼崎市から家族4人で訪れた会社員前川公一さん(38)は「ドームは原爆の悲惨さを伝える証人。大切に残さないといけませんね」と写真に収めていた。広島市公園整備課は「調査中は遠方から訪れる人に申し訳ない思いだった。元の姿に戻ったので、多くの人にドームが発信するメッセージを感じてほしい」としている。

 市は調査結果を市の有識者委員会に報告し、保存工事が必要かどうか判断を仰ぐ。(胡子洋、加納亜弥)

(2012年3月12日朝刊掲載)

年別アーカイブ