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原爆伝承 裾野広げ1年 福山市被害者友の会 被爆者の悩み相談員養成へ

 福山市内の被爆者や被爆2世たちでつくる市原爆被害者友の会が、発足から4日で1年を迎える。市原爆被害者の会が解散し、活動を引き継いだ。大学生と交流するなど次代を見据え活動の幅を広げる。一方で、高齢の被爆者にどう寄り添うかなど課題も残る。(高本友子)

 会は、役員の高齢化を理由に昨年3月末で解散した市原爆被害者の会(会員数約500人)に代わり発足。被爆2世の藤井悟さん(69)を会長に、被爆者と被爆2世たち約40人で活動している。

 これまで被爆者は個別に証言していたが、会の活動として組織化した。被爆体験を聞く集いを市内で2回開き、市教委を通じて小学校など3カ所で語ってもらった。

 被爆2世の下の世代を育てようと、会と連携する「ピース・メイト(平和の仲間)」を募った。盈進中高生や大学生たち7人が参加。昨年8月6日に霞町の中央公園で開いた慰霊式典では、司会を大学生に任せた。藤井さんは「被爆者の方がいるうちに、できるだけ裾野を広げたい」と思いを語る。

 一方、被爆者の会員は約20人。藤井さんは、相談相手のいない孤立した被爆者を懸念する。被爆者宅に出向いて悩みを聞いて回っており、ことしは相談員養成のための勉強会を始める予定でいる。

 市原爆被害者の会の会長だった池尻博さん(90)=同市松永町=は「被爆者の思いを受け継ぎ、支えてくれて頼もしい」。藤井さんは「核兵器廃絶、平和を訴える組織を福山からなくさない」と息の長い活動を誓う。

(2016年4月3日朝刊掲載)

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