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[広島外相会合 書面インタビュー] フランス・エロー外相 テロの根本原因解決を

  ―これまでに広島への訪問はありますか。
 何度か訪日しているが、広島市を訪れるのは初めてだ。岸田文雄外相が広島での外相会合開催を決意したことに感謝している。広島は戦争の悲劇の象徴。手を携えて世界平和を守る重要性を国際社会へ喚起してくれる。外相間の協議にインスピレーションを与えると確信している。

  ―「核兵器なき世界」を支持しますか。
 フランスは、国際的な安全保障と安定を促す方法で「核兵器なき世界」の条件づくりに関わっている。その際、漸進的で、無理のないアプローチであることが基本だ。

 核軍縮の次の一歩は、ことし(国連総会での)採択20年になる包括的核実験禁止条約(CTBT)の発効。そして兵器用核分裂物質生産禁止(カットオフ)条約の交渉開始だ。カットオフ条約に関しては、フランスは、野心的かつ現実的な内容で交渉開始を働き掛けている。

 他を圧倒する核兵器を持つ米国とロシアが、2国間の核軍縮の取り組みを続けることも期待している。

  ―外相会合でどんな議論を期待しますか。
 今日の世界ではテロが大きな課題の一つ。その根本原因の解決に取り組む必要がある。テロ資金供与の防止や警察・税関・司法の国際協力の強化、空の安全の強化などだ。外相会合がその方向へ強いシグナルを発信するよう期待する。

 軍縮と核不拡散も議題の中心になるだろう。北朝鮮が挑発を繰り返し、国際的な核不拡散、武器管理体制を脅かしている。北朝鮮への制裁を強化するため、(3月の)国連安全保障理事会決議の完全な履行を担保しなくてはならない。

 国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で採択されたパリ協定の履行も優先事項だ。歴史的な合意内容を実現させるため、外相会合は、今後の方策を議論する機会になるだろう。

  ―平和をつくるため、広島の若者たちへの助言は。
 歴史問題のような国際対立や紛争は、対話で解決されるべきだ。仏独の和解に見られるように、欧州は1945年以来、それを成し遂げてきた。若者同士の交流が、この過程に決定的な役割を果たしてきた。広島の若者たちも同様の貢献ができる。彼らが日本と近隣諸国のより良い理解を育み、世界の平和と安定を進められると信じている。

(2016年4月5日朝刊掲載)

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