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フランス ジャンマルク・エロー外相 インタビュー全文

質問)これまでに広島に来たことはありますか。
回答)訪日は何度かしているが、広島を訪れるのは初めて。ナント市の元市長として、姉妹都市である新潟に行く機会があった。そういう意味で、岸田文雄外相が外相会合を広島で開催すると決定したことに感謝している。おかげで岸田大臣の郷里を知る機会が得られる。

質問)今回、広島でどのような体験をしたいですか。
回答)広島は戦争の悲劇の象徴であり、国際社会に手を携えて世界平和を守ることの重要性を喚起してくれる。この精神が、我々G7外相間の協議にインスピレーションを与えてくれるものと確信している。

質問)外相会合で、世界平和を進めるために何を議論したいか。平和実現への障害克服のため、どのような提案をお持ちですか。
回答)テロが今日の世界では最も大きな課題の一つ。我々は不安定をかきたてる地域紛争を例とする、その根本原因に取り組む必要がある。テロ資金供与の防止、警察・税関・司法の国際協力強化、空の安全の強化、文化財の不法取引対策も必要。外相会合がその方向に強いシグナルを発信することが期待される。

軍縮と核不拡散も議題の中心になるだろう。北朝鮮が挑発を繰り返し、国際的な核不拡散及び武器管理体制を脅かしている現在、主要な目標は、北朝鮮体制への制裁強化のため、国連安全保障理事会決議第2270号の完全なる履行を担保することだ。

国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で採択されたパリ協定の履行も、気候変動が人類が直面する最大の課題の一つであるがゆえ、優先事項となる。外相会合は、この歴史的合意を実現するための今後の方策を議論する機会となるだろう。

質問)「核兵器なき世界」を支持しますか。そのような世界を実現するためになすべきことは何ですか。
回答)フランスは、軍縮への漸進的で無理のないアプローチをベースに、国際的な安全保障と安定を促進する方法で、「核兵器なき世界」の条件づくりにコミットしている。包括的核実験禁止条約(CTBT)は今年が採択20周年になるが、それを発効させることと、フランスが野心的かつ現実的な真の意味でのドラフトを提出した兵器用核分裂物質生産禁止(カットオフ)条約交渉をスタートさせることが、軍縮への次の論理的な一歩になる。我々はまた、他を圧倒する最大の核兵器保有国である米国とロシアが、二国間ベースでの核軍縮の取り組みを継続することも期待している。

質問)平和促進のために広島の若者たちができることは何か、アドバイスを下さい。
回答)若い世代は将来を担う。歴史問題のような国際対立や紛争は対話で解決されるべき。これは仏独の和解に見られるように、欧州が1945年以来達成してきたことだ。若者同士の交流がこのプロセスに決定的な役割を果たした。広島の若者たちも同様な貢献ができる。彼らが日本と近隣諸国のより良い理解を増進し、世界の平和と安定を推進できるものと信じている。

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