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原爆の悲惨さ 絵本で知って 広島市佐伯区の会 紙芝居を基に作製

 原爆で親を失った子どもたちが集団生活した広島戦災児育成所と、子どもたちの心のよりどころとなった童心寺を題材にした紙芝居が絵本になった。地元の広島市佐伯区皆賀地区の住民たちでつくる「童心寺を次世代に語りつぐ会」が千冊を印刷。市内の図書館や小中学校に配る。

 絵本はB5判でカラー16ページ。近くに住む木下数子さん(79)が2014年に作った紙芝居のイラストと文章を利用した。漢字に振り仮名を付けた。巻末には簡単な解説を添えている。

 育成所が開所し、その敷地内に童心寺が建立された経緯や孤児の暮らしぶりが描かれている。焼け跡から掘り出した家族の遺骨を納めた童心寺が毎日、冥福を祈る場として孤児の心の支えとなっていたことも伝えている。

 木下さんは、地元の歴史を後世に伝えたいと公民館や小学校で紙芝居の上演を続けていた。活動に賛同する住民たちが昨年2月、語りつぐ会を設立。もっと広く知ってもらおうと市文化財団の協力を得てことし3月に絵本を発行した。

 同会の久保田詳三会長(69)は「原爆孤児やその暮らしについて理解が広がるきっかけになれば」と話している。(口元惇矢)

(2016年4月5日朝刊掲載)

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