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原爆資料館と交流模索 米の原爆開発拠点 ロスアラモス 歴史博物館長ら訪問 

 原爆開発の拠点だったロスアラモス(米ニューメキシコ州)にある歴史博物館のジュディス・スタウバー館長らが5日、広島市中区の原爆資料館を訪れた。交流を深めるよう提案するのが目的。将来的には、被爆地からの出席者を交えたシンポジウムの開催や、被爆資料の借り受け展示を模索するという。

 同博物館は地域団体「ロスアラモス歴史協会」が運営。地域の歴史として、先住民の生活文化や開拓移民などと合わせ、原爆を開発した第2次世界大戦中のマンハッタン計画の関連資料も展示している。近所には、現在も核兵器の維持を担うロスアラモス研究所の付属科学博物館もある。

 スタウバーさんは収蔵品の管理担当者やインターンの高校生と、志賀賢治館長の案内で館内を初めて見学。被爆者の衣服などの実物資料や放射線の急性障害の説明パネルに見入った。「実物を配する展示から、被害者一人一人のストーリーが迫ってくる。冷静な展示ながらも胸を打つ」と感想を述べていた。

 志賀館長は「熱心にメモを取り、時間をかけて展示資料と向き合っている様子は伝わってきた。各地の博物館への対応と同じく、連携できる面があれば検討する」と話していた。

 米国では原爆投下を正しかったとする世論が根強く、広島との意識の差は依然大きい。スタウバーさんは「ロスアラモスにも、われわれの試みを快く思わない人がいるかもしれない。だが、歴史を巡る複数の視点の存在を提示するのが博物館の役目。だからこそ原爆資料館との交流を重視したい」と強調していた。一行は7日に長崎市に移動する。(金崎由美)

(2016年4月6日朝刊掲載)

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